『塗仏の宴 宴の支度』と『塗仏の宴 宴の始末』を合わせて2000ページの超長編小説を終に読破した。

 これまでの登場人物、例えば
『姑獲鳥の夏』の内藤赳夫、
『魍魎の匣』の堂島静軒、
『狂骨の夢』の一柳朱美、
『絡新婦の理』の織作茜

等々が次から次へと出てきて人の懐かしい思いを誘き寄せた。
一方、今回の事件と絡み合う関係者達が「支度」でそれぞれ6つの妖怪主題のエピソードに割り当て、隠蔽し根本を読めない。
が、活躍ほど正に宴の狂気。しかし、後半までまだ全体像を丸きり見えないというじれったい気が体に走るのを覚えた。
待ちに待った最後「謎解き」の部分は以前より弱まった、それに語られなかったうすうす気になる部分も多く残されたように感じた。

 今回の事件というか実験のほうは妥当だろう。
興味本位で陰湿なゲームが繰り広げられ、一族を催眠術、薬剤、記憶改竄などによって解体されてしまった。
騙すつもりの方は騙されていたというどんでん返し。家族は15年後こんな形で再会するなんて嘆きの極りないことだ。

再構築評価陣: 絡新婦>狂骨>魍魎>塗仏>姑獲鳥>鉄鼠

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